昨年(2011年) 3月、98歳で亡くなられた彫刻家-佐藤忠良さんの追悼展が、仙台の宮城美術館で開催されるというお知らせをいただいた。
初日に、忠良さんの長女で女優の佐藤オリエさんが講演をされるという。「オリエさんが講演をやるなんて珍しい」と思ったので、行ってみようかな。
ところが。
あらためてチラシを見て吃驚。
初日って今日じゃない。
「悩んでるなら行った方がいいぜ。
行けば良かったと後悔することはあっても、行かなきゃ良かったと思うことないから。」
MOURIらしいアドバイス。
2時間後には、新宿のホーム
湘南スカイラインの、いつも(鎌倉)と反対行きに乗る。
仙台までは普通、東京駅から新幹線だけど、湘南スカイラインで大宮経由で行ってみようと思います。
初めて来た大宮駅
駅ビルの食品売り場、充実してる。
凄い行列。そうか、今日は祝日だもの。
自由席は座れるどころか、立ち入る隙もなく、駅員さんの案内で普通指定の車輌に回されました。
もちろん仙台まで、座れない。
ひと ひと ひと
仙台に到着。10年ぶり。
バスで行こうと思っていたけど、時間がせまっていたのでタクシーに。
宮城美術館に近づきました。あっ、看板!
宮城美術館の敷地は広い。
あそこが入口か
ふう。。。間に合った
椅子がふたつある… ということは講演じゃなく、対談なんだ。
講演会は、宮城美術館の中にある大きな講堂で始まりました。
今回の講演、撮影自由みたい。あっちでもこっちでもパチパチ撮ってる。
フラッシュたいて撮ってる人もいる。おおっ、宮城県、やることワイルド。
聞き手は、宮城美術館の学芸員の三上満良さん。
三上さんは、“ 佐藤忠良のことなら何でも知っている ” と、言われるほどの人。
対談でも、娘のオリエさんの知らないようなことまで話されていて、
オリエさんの方が「へぇ、そうなんだ」と言って、会場が大爆笑。
この絵は、忠良先生の絶筆『山茶花』
オリエさん所有の遺品を ( 三上さんの ) 熱意に負けて、宮城美術館に寄付。
「これも取られちゃったのよ~」オリエさんのコメントに、またもや会場大爆笑。
※ 講演を見に来た市民から「あれは、やっぱりオリエさんに返すべきです」と後日投書があったそうな (笑)
対談は、後に映された写真を見ながら進んでいます。
オリエさんの話には、父親を熟知し作品を愛してくれる関係者の方々に敬意をはらっている様子があらわれていて、
とても素敵な対談でした。
オリエ 「三上さんてね、
親父 の絵に、私が付箋をつけたら、もの凄く怒るの。『この付箋 古くて糊きいてないから大丈夫よ~』と言っても許してくれない。
『駄目ですっ! 糊は糊です!』だって」
「親父は、 『彫刻は、触ってもらうのが一番いい』って言ってましたよ。
美術館の彫刻 触ってもいいんじゃないの~?」三 上 「目のお悪い方に限って、OKにしております」
オリエ 「ケチ!」
まるで、掛け合い漫才。
1時間強、笑いにあふれた対談が続き、最後にオリエさんが、こう話された。
「父が亡くなった( 2011,03,30 ) のは、震災 ( 2011,03,11 ) の直後でしたので、
宮城美術館の皆さんは、日本海側の路線を乗り継いだりして駆けつけていただいて ⵈⵈ
本当に申し訳なかったです。
父のことどころではない、本当に本当に大変な時だったのに ⵈⵈ 。
宮城の皆さん、関係された皆さんに、あらためてお詫びとお礼を申し上げます。
ありがとうございました。」
会場が、その瞬間し~んとなりました。
そして拍手の嵐。
言葉を選びながら当時の様子を語られたオリエさんのひと言ひと言が、
仙台のお客さんの胸に響いたようです。
MOURIの言う通り「ああ、来て良かった」